決算整理仕訳 一覧

個人事業での資本の出し入れ

個人事業の場合、資本の勘定は『資本金』のみです。ここに事業用の資金として個人のお金を組み入れたり、逆に生活費として引出したりします。
この際、資本金からの引出を頻繁に行う場合、その都度『資本金』勘定を増減させること無く、『引出金』という特殊な勘定科目を使います。(資本のマイナスとなる科目)

ただ、この『引出金』勘定は、簿記3級の試験などでは出てくるのですが、個人事業向けの会計ソフトの場合、見当たらないことがよくあります。
『引出金』を使う代わりに、個人のお金を組み入れたり、個人のお金で立替えた場合に使う『事業主借』(負債グループ)と、個人のお金として引出した場合に使う『事業主貸』(資産グループ)を使います。

一般的に、『引出金』勘定は日商簿記試験向けの勘定科目、個人事業の実務では『事業主貸』&『事業主借』という認識がされているようです。

個人のお金を元入れしたり、立替えた場合

資本金に個人のお金から10万円を組み入れ、そのまま事業用の現金とした(「資本金」勘定を使う場合)

借方 貸方
現金 : 100,000 資本金 : 10,000

資本金に個人のお金から10万円を組み入れ、そのまま事業用の現金とした(『事業主借』勘定を使う場合)

借方 貸方
現金 : 100,000 事業主借 : 10,000

事業で使う備品5000円を、個人のお金で立替えて購入した(「資本金」勘定を使う場合)

借方 貸方
現金 : 5,000 資本金 : 5,000
備品 : 5,000 現金 : 5,000

事業で使う備品5000円を、個人のお金で立替えて購入した(『事業主借』勘定を使う場合)

借方 貸方
備品 : 5,000 事業主借 : 5,000

個人のお金として引き出す場合

事業用の銀行預金から、事業主の生活費として10万円を引出した(「引出金」勘定を使う場合)

借方 貸方
引出金 : 100,000 普通預金 : 100,000

資本金に個人のお金から10万円を組み入れ、そのまま事業用の現金とした(『事業主借』勘定を使う場合)

借方 貸方
事業主借 : 100,000 普通預金 : 100,000

引出金の決算整理

引出金勘定を使う場合、決算時に貸方の合計額を資本金勘定に振り替え、引出した分の金額を資本金から減額する必要があります。

当期首の資本金残高は100万円あったが、当期の引出金の合計が20万円あった。

借方 貸方
資本金 : 200,000 引出金 : 200,000
この決算整理仕訳を精算表に反映すると下図のようになる。
(図は「精算表」から関連箇所だけを抜粋したもの)

hikidasikin.png

 

繰延べとは?

基本的に、費用や収益は支払いや受取が発生した時点で記帳しますが、決算期末の時点で、来期の費用や収益であるはずのものを、前もって支払いや受取が行われている場合があります。
決算は『会計年度』毎に行うものなので、たとえ当期に支払いや受取を行なっていたとしても、来期の費用や収益は、当期の費用や収益から差し引く、『繰延べ』という処理を行う必要があるとされています。

費用の繰延べ

本来、来期に必要となる費用の内、代金を前もって支払っているもの(=前払費用)を当期の費用から差し引きます。
前払費用を計上するための勘定科目には、『前払家賃』『前払地代』『前払利息』『前払保険料』などがあります。いずれも資産グループです。
なお、これらの前払費用は次期のはじめに、元々の費用グループの勘定に振り替えます。

例えば、事業用のテナントを家賃10万円で借りており、その月の家賃の支払いは前月末までに行う契約を結んでいた場合です。
この場合、次期の1月の家賃は、当期の12月末までに支払う必要があります。支払いが発生しているため、当期に記帳しない訳にはいきませんが、あくまでも次期の1月分の費用なので、当期の費用として計上するのはふさわしくありません。
その為、次期の1月分として支払った家賃を、『前払家賃』として、決算時に繰り延べます。

借方 貸方
前払家賃 : 100,000 支払家賃 : 100,000

この決算整理仕訳を精算表に反映すると下図のようになる。
(図は「精算表」から関連箇所だけを抜粋したもの)
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収益の繰延べ

本来、来期に発生する収益の内、代金を前もって受け取っているもの(=前払収益)を当期の収益から差し引きます。
前払収益を計上するための勘定科目には、『前受家賃』『前受地代』『前受利息』などがあります。いずれも負債グループです。
なお、これらの前払収益は次期のはじめに、元々の収益グループの勘定に振り替えます。

例えば、所有しているマンションの部屋を家賃10万円で貸しており、その月の家賃の支払いは前月末までに行う契約を結んでいた場合です。
この場合、次期の1月の家賃は、当期の12月末までに受け取っており、当期に記帳しない訳にはいきませんが、あくまでも次期の1月分の収益なので、当期の収益として計上するのはふさわしくありません。
その為、次期の1月分として受け取った家賃を、『前受家賃』として、決算時に繰り延べます。

借方 貸方
受取家賃 : 100,000 前受家賃 : 100,000

この決算整理仕訳を精算表に反映すると下図のようになる。
(図は「精算表」から関連箇所だけを抜粋したもの)
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見越しとは?

基本的に、費用や収益は支払いや受取が発生した時点で記帳しますが、決算期末の時点で、本来当期の費用や収益であるはずが、まだ支払いや受取が行われていない場合があります。
それでも支払いや受取が発生した時点で記帳すれば、結果的に帳尻は合うのでしょうが、決算は『会計年度』毎に行うもので、当期に発生した費用や収益は、手続きの都合で次期に持ち越しとなったとしても、当期の費用や収益として記帳する、『見越し』という処理を行う必要があるとされています。

費用の見越し

当期に発生した費用の内、代金をまだ支払っていないもの(=未払費用)を当期の費用に計上します。
未払費用を計上するための勘定科目には、『未払家賃』『未払地代』『未払利息』などがあります。いずれも負債グループです。
なお、これらの未払費用は次期のはじめに、元々の費用グループの勘定に振り替えます。

例えば、当期の4月1日に年利2.4%、期間1年で100万円を借り入れ、返済は来期の3月末に利息も合わせて一括返済することにした場合の記帳を考えます。
この場合、実際の返済は来期だが、当期の4~12月に発生している利息は当期の費用として計上する必要があるので、決算整理時に当期に発生している利息を算出し、見越し計上します。
期間が1年で、年利2.4%なので、1年分トータルの利息は、以下の額になります。
1,000,000 × 0.24 = 24,000
この内、今期の費用として計上するのは、4月~12月の9ヶ月分なので、年間の利息を12ヶ月均等に割って求めます。
(24,000 ÷ 12) × 9 = 18,000 → この18,000円を『未払利息』として、見越し計上します。

借方 貸方
支払利息 : 18,000 未払利息 : 18,000

この決算整理仕訳を精算表に反映すると下図のようになる。
(図は「精算表」から関連箇所だけを抜粋したもの)
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収益の見越し

費用と同様に、収益に関しても、当期に発生しているが、代金をまだ受け取っていないもの(=未収収益)を当期の費用に計上します。
未収収益を計上するための勘定科目には、『未収家賃』『未収地代』『未収利息』などがあります。いずれも資産グループです。
なお、これらの未収収益は次期のはじめに、元々の収益グループの勘定に振り替えます。

例えば、当期の4月1日に年利2.4%、期間1年で100万円を貸し付け、返済は来期の3月末に利息も合わせて一括返済することにした場合の記帳を考えます。
この場合、実際の返済は来期だが、当期の4~12月に発生している利息は当期の収益として計上する必要があるので、決算整理時に当期に発生している利息を算出し、見越し計上します。
(金額の計算は、費用の見越しの例と同じなので、計算方法は割愛します。)

借方 貸方
未収利息 : 18,000 受取利息 : 18,000

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(図は「精算表」から関連箇所だけを抜粋したもの)
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減価償却費の整理

<概要>

  • 取得額が一定以上で、使用可能期間が数年に渡る資産は、「減価償却」という処理が必要。
  • 減価償却費の計算方法には、『定額法』と『定率法』がある。
  • 減価償却費の仕訳方法には、『直接法』と『間接法』がある。

減価償却とは?

建物や営業用車両、パソコンなどの機器類など、事業を行う上で必要な資産の内、取得額が一定以上で、使用可能期間が数年に渡るもの『固定資産』と扱いますが、一般的には、これら固定資産の価値は使用するうちに下がっていきます。
この価値の減少分を、期末に費用グループの『減価償却費』として計上し、固定資産の帳簿価格も同時に調整する処理を行いますが、この処理のことを『減価償却』といいます。

実際にどのような資産が減価償却が必要な『固定資産』となるのかは、国税庁のウェブサイトを確認するのが良いでしょう。
(頻繁ではないにせよ、ルールが変わることもありますので。)

  • 取得額がいくら以上なら、減価償却が必要な固定資産になるのか。
  • その資産の使用可能年数は何年か
といったことが記載されています。基準の額も使用可能年数も省令などで定められていて、自己判断で決めてよいわけではありませんので、キチッと確認しましょう。

減価償却費の算出方法

減価償却費を算出するためには、取得原価、耐用年数、残存価格、償却補償額という要素を考慮します。但し、平成19年3月末を境に制度が変わっているので、それ以降に取得した固定資産については、残存価格は考慮しなくても良いようです。ただ、0円には出来ないようなので、1円だけ『備忘価格』として残すのが一般的です。

  • 取得価格: 固定資産の購入代金に、手数料や運送費などの付随費用を足した額(参照:固定資産の売買に関する仕訳
  • 耐用年数: 固定資産の使用可能年数。資産の種類や用途別に、法定耐用年数が決まっているのでそれを使用する。
  • 備忘価格(残存価格) 耐用年数が経過した後の固定資産の価格。現在は1円でOKだが、旧制度では取得価格の10%が一般的だった。
  • 償却保証額: 固定資産の使用可能年数に応じて決まっている額で、最低限この金額は償却しても良いという金額。『定率法』での計算時に必要になる場合がある。

取得価格については、固定資産の取得時に記帳していればわかるはずなので、『耐用年数』を確認しておけば、減価償却費の計算が出来るようになります。
耐用年数とそれに応じた償却率、定率法を使う場合に必要となる償却保証額は、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」の別表八、九、十を参照。

実際の計算方法には、毎期同じ額を計上する『定額法』と、毎期の帳簿価格(=未償却残高)に耐用年数に応じた一定の償却率を掛ける『定率法』があります。
定額法だと毎年一定額を減価償却するのに対し、定率法の場合、固定資産取得から間もないうちは多めに減価償却できますが、年数が経過するほど償却額は減っていき、計算も少々複雑になります。

定額法での算出方法

取得原価 ÷ 耐用年数 = 1年分の減価償却費

定率法での算出方法

未償却残高 × 定率法の償却率 = 1年分の減価償却費

但し、計算した減価償却費が、償却保証額に満たない場合は、以下の計算になります。

改定取得価額 × 改定償却率

改定償却率も、通常の償却率と同様、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」の別表八、九、十を参照。
償却額が最初に償却保証額に満たなくなる事業年度の期首未償却残高をいいます。

このあたりの計算の例も国税庁のウェブサイトを参照すると良いでしょう。(参照:定額法と定率法による減価償却

減価償却額の計算例

取得価格20万円のパソコンを購入した場合の減価償却額の計算例を見てみます。
なお、パソコンの場合、償却期間は4年、定率法の償却率は0.5、償却保証率は0.12499 、改定償却率は1.0となっています。
*償却保証額は200,000×0.12499=24,998
 

  定額法 定率法
1年目 200,000 ÷ 4 = 50,000 200,000 × 0.5 = 100,000
2年目 200,000 ÷ 4 = 50,000 100,000 × 0.5 = 50,000 
3年目 200,000 ÷ 4 = 50,000 50,000 × 0.5 = 25,000
4年目 200,000 ÷ 4 - 1 = 49,999
→償却終了
25,000 × 0.5 = 12,500
償却保証額の24,998を下回っているので、再計算。
25,000(改定取得原価) × 1.0(改定償却率) - 1 = 24,999 
→償却終了

減価償却費の決算整理仕訳

減価償却費が計算できたら、今度は決算整理仕訳を行います。
仕訳の方法には、「直接法」と「間接法」があります。

直接法による仕訳

直接法は当期の償却額をそのまま固定資産の貸方に記入して取得原価から差し引き、固定資産の帳簿残高を直接減らす方式。

(例:先述の20万円のパソコンの減価償却2年目の場合。金額は定額法で算出したものを使用。)

借方 貸方
減価償却費 : 50,000 備品 : 50,000

この決算整理仕訳を精算表に反映すると下図のようになる。
(図は「精算表」から関連箇所だけを抜粋したもの)
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間接法による仕訳

間接法は該当する固定資産の帳簿価格は直接減らさず、『減価償却累計額』という勘定科目を使って計上する。
『減価償却累計額』は貸倒引当金と同様に「資産のマイナス」を表す特殊な勘定科目で、貸方に記入。

(例:先述の20万円のパソコンの減価償却2年目の場合。金額は定額法で算出したものを使用。)

借方 貸方
減価償却費 : 50,000 減価償却累計額 : 50,000

この決算整理仕訳を精算表に反映すると下図のようになる。
(図は「精算表」から関連箇所だけを抜粋したもの)
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<概要>

  • 決算時に残っている消耗品の残高は、費用グループの『消耗品費』勘定から資産グループの『消耗品』勘定に振り替える
  • 次の期首に再度、『消耗品』勘定から『消耗品費』勘定に振り替える

消耗品や切手、収入印紙が残っている場合

消耗品や切手、収入印紙の購入時は、それぞれ費用グループの『消耗品費』勘定などに振り替えますが、当期に計上できる費用はあくまでも『使用した分』なので、決算時に残っていた消耗品は次期に繰り越さなければなりません。

消耗品の決算整理に使う勘定科目として、資産グループの『消耗品』があるので、残高を『消耗品』に振り替えます。
*切手や収入印紙の場合は、『消耗品』ではなく、資産グループの『貯蔵品』勘定を使います。

なお、繰り越した残高は、次期以降に費用として使われるのが前提なので、次期のはじめに『消耗品費』などに再度振り替えます。

消耗品や切手などの決算整理仕訳

未使用で次期に繰り越すの消耗品の残高を『消耗品』として、切手、印紙類の残高は『貯蔵品』として、それぞれ借方に記入し、対応する額を貸方に記入する。
(例:決算時に文房具が1万円分、切手と収入印紙がそれぞれ2,000円分余っていた。当期中の購入額は、文房具が4万円、切手1万円、収入印紙5千円。)

借方 貸方
消耗品 : 10,000 消耗品費 : 10,000
貯蔵品 : 2,000 通信費 : 2,000
貯蔵品 : 2,000 租税公課 : 2,000

この決算整理仕訳を精算表に反映すると下図のようになる。
(図は「精算表」から関連箇所だけを抜粋したもの)
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有価証券の整理

<概要>

  • 有価証券には価値の変動がつきもの。決算時に差額を調整する。

有価証券の評価

株式などの有価証券の価値は必ずしも購入時の価格がそのままというわけではありません。
以前の記事で、購入時はその時点の価格(+手数料)で仕訳し、売却時には価格の変動分は『有価証券売却益』や『有価証券売却損』で仕訳していました。

有価証券を決算時まで保持していた場合、有価証券も立派な資産ですから、取得原価のまま計上しては、会社の財政状態を適正に反映していないことになってしまいます。
*ただ、有価証券の資産価値はあくまでも取得価格である、という考え方も認められています。

そのため、決算時には取得価格と期末における時価の差額を算出し、適正な金額に修正します。
この手続を『有価証券の評価替え』といいます。

有価証券の評価方法には『時価法』と『原価法』があります。

  • 時価法 持っている有価証券の評価はその時の時価であるとし、決算時に評価を修正する方法
  • 原価法 持っている有価証券の価値は取得時の価格であるとする方法
この内、決算時に有価証券の評価替えが必要なのは『時価法』の場合です。

時価法による決算整理仕訳

時価が取得価格より低くなった場合

借方に費用グループの『有価証券評価損』を記入して処理し、「有価証券」勘定を減額させる。
(例:取得原価70万円の有価証券が、期末時点では55万円の評価額となった)

借方 貸方
有価証券評価損 : 150,000 有価証券 : 150,000

この決算整理仕訳を精算表に反映すると下図のようになる。
(図は「精算表」から関連箇所だけを抜粋したもの)
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時価が取得価格より高くなった場合

貸方に資本グループの『有価証券評価益』を記入して処理し、「有価証券」勘定を増額させる。
(例:取得原価70万円の有価証券が、期末時点では80万円の評価額となった)

借方 貸方
有価証券 : 100,000 有価証券評価益 : 100,000

この決算整理仕訳を精算表に反映すると下図のようになる。
(図は「精算表」から関連箇所だけを抜粋したもの)
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貸倒引当金の整理

<概要>

  • 『貸倒引当金』とは、得意先の倒産などに備えて貸倒れ予測額を見積もって計上し、損失に対処するためのもの。
  • 通常は決算時に売掛金の残高などをもとに見積もる。
  • 『貸倒引当金』勘定は、資産のマイナスという特殊な勘定科目

貸倒引当金

商品やサービスを売り上げた先の取引先が倒産してしまう事態を、簿記用語では『貸倒れ』と呼んでいて、その場合の対処は以前の記事でも触れていますが、『貸倒損失』という費用を使って処理します。
ただ、当期に発生した売掛に対して、同じ期に貸倒れが発生した場合であれば、収益と費用の対応関係が取れていますので、痛いことは痛いですが、経営成績(財務成績)に影響はありません。

しかし、貸倒が次期以降に発生してしまった場合には、『貸倒損失』の分だけ費用だけが増えて、経営成績に悪影響が出てしまいます。そのような自体に備え、あらかじめ用意しておく勘定科目が『貸倒引当金』です。

なお、『貸倒引当金』は、【資産のマイナス】を表す、特殊な勘定科目です。

決算時に、売掛金の残高などをもとに見積もっておき、次期以降に貸倒が発生してしまった場合には、回収できなくなった売掛金を『貸倒引当金』から取り崩して充当します。

はじめて貸倒引当金を設定する場合

例:売掛金が500万あり、その1割を貸倒引当金に設定した場合

決算整理仕訳時に、売掛金の残高などをもとに見積もり、その額をもとに仕訳します。
なお、この時に『貸倒引当金』に対応するための勘定科目として、費用グループの『貸倒引当金繰入』を使用します。

借方 貸方
貸倒引当金繰入 : 500,000 貸倒引当金 : 500,000

この決算整理仕訳を精算表に反映すると下図のようになる。
(図は「精算表」から関連箇所だけを抜粋したもの)
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決算時に貸倒引当金の残高がある場合の処理方法

期末時点で貸倒引当金に残高がある場合の決算整理の方法には、『洗替法』と『差額補充法』があります。

洗替法で処理する場合

いったん、貸倒引当金の残高すべてを収益グループの『貸倒引当金戻入』という勘定に振り替えた後に、新たに当期分の貸倒引当金の設定を行うパターンです。
ここでは、期末時点での貸倒引当金の残高は40万円とし、見積もった貸倒引当金の必要額は50万円とします。

借方 貸方
貸倒引当金 : 400,000 貸倒引当金戻入 : 400,000
貸倒引当金繰入 : 500,000 貸倒引当金 : 500,000

この決算整理仕訳を精算表に反映すると下図のようになる。
(図は「精算表」から関連箇所だけを抜粋したもの)
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差額補充法で処理する場合

貸倒引当金の残高と、期末の残高を比較し、その差額分で処理する方法です。
差額補充法の場合、「残高 > 見積額」の場合と、「残高 < 見積額」の場合で、仕訳方法は異なります。

1.残高 > 見積額 の場合

ここでは、期末時点での貸倒引当金の残高は50万円とし、見積もった貸倒引当金の必要額は40万円とします。
貸倒引当金の残高50万円の内、見積額との差額10万円を、収益として繰り入れるイメージとなります。

借方 貸方
貸倒引当金 : 100,000 貸倒引当金戻入 : 100,000

この決算整理仕訳を精算表に反映すると下図のようになる。
(図は「精算表」から関連箇所だけを抜粋したもの)
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2.残高 < 見積額 の場合

ここでは、期末時点での貸倒引当金の残高は40万円とし、見積もった貸倒引当金の必要額は50万円とします。
見積もりと比べて不足している10万円を、追加で貸倒引当金に繰り入れるイメージとなります。

借方 貸方
貸倒引当金繰入 : 100,000 貸倒引当金 : 100,000

この決算整理仕訳を精算表に反映すると下図のようになる。
(図は「精算表」から関連箇所だけを抜粋したもの)
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<概要>

  • 原因不明の現金不足は、現金過不足勘定から『雑損』勘定に振り替える
  • 原因不明の過剰金は、現金過不足勘定から『雑益』勘定に振り替える

以前の記事で紹介した、『現金過不足』勘定は、あくまでも一時的に処理するための勘定科目です。
そのため、決算時には、原因不明の現金過不足のままとはせず、現金不足は費用グループの『雑損』勘定に、
過剰現金は収益グループの『雑益』勘定に、それぞれ振り替えます。
この決算整理を行い、現金過不足勘定の残高がゼロとなるようにします。

現金過不足の決算整理の例

期末に原因不明の現金不足が48000円あった場合

現金不足なので、雑損勘定に振り替える。

借方 貸方
雑損 : 48,000 現金過不足 : 48,000

 

kafusoku-kessan1.png

この決算整理仕訳を精算表に反映すると下図のようになる。
(図は「精算表」から関連箇所だけを抜粋したもの)
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期末に原因不明の現金過剰が85000円あった場合

現金過剰なので、雑益勘定に振り替える。

借方 貸方
現金過不足 : 85,000 現金過不足 : 85,000

kafusoku-kessan2.png

この決算整理仕訳を精算表に反映すると下図のようになる。
(図は「精算表」から関連箇所だけを抜粋したもの)

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<概要>

  • 『三分法』で商品売買を記帳している場合、原価計算を決算時に行う。
  • 売上原価 = 期首商品有高 + 当期仕入高 - 期末商品有高
  • 売上総利益 = 売上高 - 売上原価
  • 決算整理仕訳時に、期首商品有高を『繰越商品』勘定から『仕入』勘定に振り替え
  • 決算整理仕訳時に、期末商品有高を『仕入』勘定から『繰越商品』勘定に振り替え

筆者の様な、原価が発生しないITサービス業であれば必要ないのですが、商品の売買がメインの場合、『売上』がそのまま手元に利益として残るわけではなく、仕入時の『売上原価』というものが発生していますので、手元に残る利益は売上から売上原価を引いたものになります。

『売上総利益』 = 『売上高』 - 『売上原価』

と、基本はそうなのですが、このような単純な式で計算できるのは、前期からの繰越商品もなく、期末に売れ残った商品も無い場合に限られます。

商品売買の記帳方法では、『分記法』と『三分方』を以前の記事で紹介していますが、どちらかと言うと一般的なのは『三分法』の方です。
『分記法』では、個別の売買時に売買益を出しているので、それを積算すれば当期総利益は算出できますが、『三分法』の場合は決算時に『売上原価』を算出して、それを元に『売上総利益』を算出する必要があります。

『売上原価』は基本的には当期に売り上げた商品の仕入原価のことを指しますので、当期の『仕入』勘定を積算すればよい・・・とはなりません。
多くの場合、前期に仕入れた商品も期首の時点で残っているので、その分を加味する必要があるからです。
ですので、売上原価の計算にあたっては、当期の仕入高に前期末の在庫(=期首商品有高)を加え、そこから期末時点で残っている在庫(=期末商品有)を差し引くと当期の売上原価が求められます。

『売上原価』 = 『期首商品有高』 + 『当期仕入高』 - 『期末商品有高』
 

 

原価計算の例

仕入れ単価700円の商品が、期首に150個あり、期中に1,000個仕入れ、期末に100個残った。

genka001.png上図の場合、以下の値がそれぞれ求められる。

  • 期首商品有高 : 700円 × 150個 = 105,000円
  • 当期仕入高 : 700円 × 1,000個 = 700,000円
  • 期末商品有高 : 700円 × 100個 = 70,000円

求めた数字を元に、売上原価を求める。
genka002.png売上原価 : 105,000円 + 700,000円 - 70,000円 = 735,000円
 

決算時に売上原価に関連する仕訳を行う

先に『原価計算』の一連の流れを紹介しましたが、それに沿う形で決算整理仕訳時に『期首商品有高』、『期末商品有高』の仕訳を行います。

1.期首商品有高を『繰越商品』勘定から『仕入』勘定に振り替える

事例 借方 貸方
仕入れ単価700円の商品が、期首に150個あった。 仕入 : 105,000 繰越商品 : 105,000
この時点で、『仕入』勘定の残高が『売上原価』を示す。

2.期末商品有高を『仕入』勘定から『繰越商品』勘定に振り替える

事例 借方 貸方
仕入れ単価700円の商品が、期末にに100個残った。 繰越商品 : 70,000 仕入 : 70,000
この時点で、『繰越商品』の残高は、『期首商品有高』から『期末商品有高』へと修正される。

 

さらに、この決算整理仕訳を精算表に反映すると数のようになり、売上原価と期末商品有高が精算表上に現れる。
(図は「精算表」から関連箇所だけを抜粋したもの)
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京都府南部を拠点にフリーのITエンジニアとして活動しています。

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