簿記の基礎知識 一覧

<概要>

  • 簿記には『日常の手続き』と『決算の手続き』がある。
  • 経済活動の一区切りを会計期間といい、普通は1年単位で区切る。
  • 1会計期間の期末に決算が行われる

 

簿記の2つの手続きとは

簿記は『モノやカネの動きを帳簿に記帳』ということなので、『日常的な手続き』があるのは容易に想像できるかと思いますが、簿記の作業はそれにとどまりません。
それが『決算の手続き』という作業です。

『日常の手続き』は文字通り、日々の様々な取引を「発生順」に『仕訳帳』という帳簿に記入することです。この作業のことを『仕訳』と呼んでいます。

そして、その内容を『現金』や『銀行預金』などの項目に分類して記帳します。ここで登場した『現金』や『銀行預金』といった項目のことを『勘定』といい、勘定ごとに分類して、『総勘定元帳』という帳簿に記録しますが、この作業のことを『転記』といいます。

ここまでが、経理担当者が日々行う、『日常の手続き』の範囲となります。
この先が『決算の手続き』となるのですが、経済活動の規模が大きい場合、『決算の手続き』の時点で記帳ミスが発覚すると修正が大変なので、定期的に帳簿の残高を集計して『試算表』というものを作成し、これまでの仕訳や転記にミスがないかチェックします。
どの程度の間隔で『試算表』を作成してチェックするかは任意ですが、最低限月単位では行ったほうが良いでしょうね。
これは筆者も、月1回は行っています。

そして、1年間の経済活動のまとめとして、『決算の手続き』を行います。
まずは決算のための『整理』という決算独特の仕分け作業を行い、それを元に『損益計算書』や『貸借対照表』などの決算報告資料を作成するわけです。

『簿記』の実務は『日々の経済活動を記帳し、決算書を作成するための作業』と言い換えても良いでしょう。
 

会計期間とは

企業の経済活動は、廃業しない限りは絶え間なく行われていくので、決算をするためには一定の期間で区切る必要があります。その区切りのことを『会計期間』と呼んでいて、通常は1年です。そして、その『会計期間』の始まりを『期首』、終わりを『期末』と呼びます。

決算は、期末にその会計期間の帳簿を元にして行われることになります。(なお、決算の対象になっている会計期間のことを通常は『当期』と呼んでいます。)

会計期間は自由に決めて良いことになっていますが、個人事業主・個人企業の場合は、所得税の確定申告との兼ね合いで『1月1日~12月31日』、法人企業の場合は『4月1日~3月31日』にしているところが一般的です。一部、9月決算の企業もあるようですが、いずれにしても会計期間を1年としている点は変わりませんね。


 

システム的に見ると・・・

<概要>

  • 簿記には単式簿記複式簿記がある
  • 複式簿記ではひとつの取引を2つに分解して記帳する
  • 業種によって使う簿記が分類される


単式簿記と複式簿記

『簿記』と聞くと、商売人向けの専門的なもののようにイメージされがちですが、家計で使うような『家計簿』『こづかい帳』も立派な簿記の一種です。
『金銭の動き』を記録するのが『簿記』なわけですから、『家計簿』も立派な簿記の一種になるわけです。

ただ、簿記と言っても色々種類があり、家計簿やこづかい帳のように、単純に『現金の収支』だけを帳簿につけるタイプのものは、『単式簿記』といって、企業の会計などで使われるものとは区別されています。

この単式簿記とは異なり、一般的に『簿記』と言われているのは『複式簿記』というもので、こちらが企業の会計などで使われています。
『複式』というからには、何かが複数あるわけなのですが、『複式簿記』においては、お金の増減を二面的に捉えて記録することになっています。
つまり、どんな取引にも2つの側面があるということなので、ひとつの取引を2つに分解して記帳します。

例えば、手持ちの現金が30万円あり、そこから10万円のパソコンを買ったとしましょう。
単式簿記では、次のように記帳します。

  • 支出:100,000
  • 残高:200,000

あくまでも、『現金の増減・収支』を記録するので、このようになるわけです。

もちろん、お金の使い道を整理するために、単に『支出』とせずに、『パソコン・電化製品』というふうに記帳しても構いませんが、いずれにせよフォーカスされるのは『手持ち現金の増減』には違いありません。

これが複式簿記になるとどうなるのでしょうか?

  • 現金:100,000の減少
  • 備品・事務用品:100,000の増加

このようになり、『単式簿記』では『現金の増減・収支』だけにフォーカスされていたのとは異なり、『備品』の増減にもフォーカスが当てられています。
今回のケースでは、『現金の減少』=『資産(備品)の増加』という形になっていて、『10万円のパソコンを購入した』という行動に対して、『現金の減少』と『資産の増加』という2つの切り口で記帳をしている、ということになります。

複式簿記ではフォーカスされるのは『現金』だけではなく、備品などの『資産』といった複数の要素にフォーカスがあてられます。
つまり、パソコンの購入で『現金』が減った分、『備品』が増えた、というように、一つの行動で『何かが減れば、何かが増える』といった二面性があることが原則になっています。


業種による分類

一口に企業と行っても、様々な業種の企業が存在しますし、経済活動を行っているのは企業だけではなく、地方自治体や非営利団体、個人事業主もいますが、経済活動を行っている以上、やはり簿記は必要になってきます。
ただ、業種や業態が違えば、記帳するべきものは違ってきますし、記帳のパターンも変わってきます。
それに対応するために、基本となる『商業簿記』に加えて、『工業簿記』、『銀行簿記』、『農業簿記』という分類がなされています。
また、営利企業か、非営利組織(この場合は官公庁も含む)かによって、『企業簿記』と『非企業簿記』という分類もされています。
いずれにしても、基本となるのは『商業簿記』になりますので、これをマスターした上で、必要に応じて他の種類も使いこなせるように慣れれば良いでしょう。

システム的に見ると・・・

さて、前回の記事から随分日が開いてしまったが、簿記のイロハのイについて、補足をしておきたいと思う。
 

<簿記の歴史>

現代の経済活動においては欠かすことの出来ない『簿記』であるが、その始まりはいつ頃だったのだろうか?
これは思いのほか古く、1494年のイタリアのヴェネツィアで出版された『算術、幾何、比および比例総覧』(ルカ・パチョーリ著)が起源とされています。
この本の中で、ルネサンス期のヴェネツィア商人たちの間で使われていた『ヴェネツィア式簿記』(=現在の複式簿記)を初めて学術的に紹介され、この『簿記論』の部分が原著のイタリア語からヨーロッパ圏の他言語に翻訳されたたことで、世界的に広まったとされています。
*また、この本は『確率』を初めて学術的に取り上げた文献ともされていて、既知の数学論を幅広くまとめた書籍とされている。

つまり、『複式簿記』というものが、ルネサンス期のヴェネツィア商人たちの間で確立されており、500年以上の歴史があるということになる。

さて、ルネサンス期といえば、日本では室町時代。日本にヴェネツィア式の簿記が伝わったのは江戸時代末期で、1865年に江戸幕府によって設立された『横須賀製鉄所』(現:在日米軍横須賀基地内の横須賀造船所)で初めて採用されたということです。
その後、時代は明治に移り、1873年に『Common School Bookkeeping』(ブライアントおよびトラットン著)が、福沢諭吉の翻訳によって『帳合之法』として出版されています。
この書は、初心者向けの簿記教育用テキストとされています。
ちなみに、同時期に『銀行簿記精法』(アレキサンダー・アラン・シャンド著)の訳書も刊行され、日本においても『簿記』という言葉が初めて使われたのは、こちらの書籍でした。
これらの書籍によって、明治時代に入ってから、日本にも本格的に簿記が普及していったということになります。


<簿記のメリット>

簿記のメリットを伝える言葉として、詩人・劇作家として歴史の教科書に登場する、ゲーテがこんな言葉を残しています。

「簿記が商人にもたらす利益は計り知れない。人間の精神が産んだ最高の発明の一つである。立派な経営者はだれでも経営に簿記を取り入れるべきだ。」

筆者は『ゲーテ=詩人・劇作家』程度の知識しか持っていなかったので、そのような人物が簿記に関する言葉を残していたというのは意外に思いましたが、ゲーテという人物は政治家・法律家という側面もあったので、経営についての言葉が残っていても不思議はないのでしょう。

さて、前回の記事では、以下のような紹介をしています。

簿記の最終目的は決算という手続きをして、決算報告書を作り、必要があればそれを公開することです。「貸借対照表」や「損益計算書」といった報告書を見れば会社にどれくらい財産があるのか、どれだけ儲かっているのかということが明らかになります。

ここで、『貸借対照表』、『損益計算書』という2つの決算書類を紹介していますが、それぞれ役割が分かれています。
  • 貸借対照表:会社の財政状態
  • 損益計算書:その年度の経営成績
と、簡単にいえば、このような役割となっています。これらを読み解くことで、様々なメリットが生まれるわけです。
  • 国/地方自治体:課税額の決定の根拠
  • 営業マン:商材のコスト計算
  • 投資家:株式投資を行う上での判断材料
  • 金融機関:融資を行う上での判断材料
  • 従業員:会社の経営状態を知ることで、不測の事態に備える
  • 経営者:適切な経営判断の材料とする
などなど、経営者や投資家は言わずもがなですが、それ以外の関係者についても、非常に重要な情報源になるわけです。

 

システム的に見ると・・・

簿記のイロハのイ

<概要>

  • 「帳簿録」=簿記
  • 簿記では金銭的な動きが生じるものだけを記録
  • 簿記によって個人や企業がどれくらい儲かっているか、どれくらい財産があるかが明らかになる。


簿記ってなんぞ??

筆者の趣味はゴルフなのですが、急に仲間からラウンドのお誘いがあったらどうしましょう?

予定が空いているかどうか次第ですが、それ以前に自分の自由にできるお金がいくらあって、ラウンドフィー&交通費として、いくらまでなら使えるかわからないと返事ができません。光熱費や携帯代といった公共料金の引き落としもどれくらい残っているか把握していないと困ることになります。

深く考えもせずに、天気もよさそうだからとラウンドに繰り出したものの、ラウンドフィーをカードで払ったり、ラウンド後の二次会で宴会三昧で、後日カードの請求書を見て真っ青ということも。ゴルフ代位ならまだしも、これが海外旅行だったり、大きな買い物だったりすれば、無計画な豪遊・散財した挙句、高い金利の借金でカードの返済に回したり、最終的にはカード破産やという恐ろしい事態も・・・

そうならないための答えは簡単です。こづかい帳や家計簿を使って、自分のお金の出入りを記録しておけばよいのです。

自分が今いくらお金を持っていて、いくら使ってよいかひと目で分かるようにしておく。

これが簿記の基本的な考え方なのです。

帳簿に記録が簿記の基本

簿記は一言で言うとお金やモノの動きを帳簿に記録することです。簿記の語源は 「帳簿録」を略してできた言葉だと言われています。簿記では金銭的な動きが生じる経済活動だけを対象としています。つまり金額で表せるものだけの記録です。
なので、「モノ」といっても、目に見える物体のことではなく、商品やサービス、原材料や労働力といった金額に換算できる物事を広く指しています。

 

 

 

個人以上に会社(あるいは経済活動を行うあらゆる企業体)では帳簿に記録を残すということが重要になります。(もちろん、組織の種類によってそのルールは変わってきますが)

会社では日々、商品の仕入や販売、物品の購入・使用など色々な経済活動が営まれています。その経済活動の種類も、組織の種類だったり、業種によっても大きく異なります。これらの複雑な企業活動を把握するために、帳簿に記入して整理する必要があります。そしてこの記録から企業の様々な経済活動が見えてくるのです。*自分たちの経済活動を把握するのみならず、組織の形態によっては、広くその記録を公開する必要もあります

簿記の最終目的は決算という手続きをして、決算報告書を作り、必要があればそれを公開することです。「貸借対照表」や「損益計算書」といった報告書を見れば会社にどれくらい財産があるのか、どれだけ儲かっているのかということが明らかになります。

システム的に見ると・・・

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