2015年3月の記事一覧

収益と費用

<概要>

  • 『収益』とは営業活動などで得た収入
  • その『収益』を上げるために必要な経費を『費用』という
  • 『収益』から『費用』を差し引いたものがプラスなら純利益、マイナスなら純損失となる。
  • 『収益』と『費用』は増加と言わず、『発生』という


そもそも『収益』とは?

会社は日々、いろいろな営業活動を行っているわけですが、その結果得た収入のことを総称して『収益』と呼びます。
『収益』が増えた場合、簿記用語では増加とは呼ばず、『発生』といいます。
なお、『収益』には、厳密には営業活動以外で得た収入も含まれ、それらは『営業外収益』や『特別収益』として、帳簿に記入します。

そもそも『費用』とは?

事業を営み、『収益』を獲得するためには、実に様々な経費がかかります。『給料』もそうですし、商品の仕入れ代から、テナント料など、様々な経費がかかります。
こういった経費のことをまとめて『費用』と呼びます。
『費用』に関しても、営業活動とは直接関係ないものもあり、それらは『営業外費用』や『特別損失』として、計上されます。
『費用』も収益の場合と同じように、増加と言わずに『発生』といいます。
 

『収益』と『費用』の関係

この『収益』と『費用』は、『損益計算書』を構成する重要な要素で、『収益』と『費用』を差し引きし、プラスになれば『純利益』、マイナスになれば『純損失』となる訳です。

過去の記事で、損益計算書は『費用』『収益』『利益/損失』の3要素で成り立っている。という説明をしましたが、『簿記の五大要素』には、『利益/損失』は入りません。これは、『利益/損失』の数字は、『収益』と『費用』を計算して求める、という性格を持っているからで、日常的な取引を記帳する場合に、『利益/損失』を直接記帳するというケースは無いからです。

また、『収益』と『費用』の増加を『発生』と呼ぶ理由ですが、書籍やサイトでも、あまり触れられていないようです。
会計の実務や、資格の取得のためであれば、特に理由を深追いせず、丸暗記してしまえばよいのでしょうが、せっかくなので考察してみます。

あくまでも、筆者個人の見解ですので、その点はご注意を。

これも以前の記事と関連してきます。
『日常の手続き』は文字通り、日々の様々な取引を「発生順」に『仕訳帳』という帳簿に記入する
と説明しました。『取引』の発生を記帳していくわけですが、この『取引』の際には、『資産』 『負債』 『資本』 『収益』 『費用』のいずれかが増減します。
ただ、『資産』 『負債』 『資本』といった、貸借対照表向けの科目は増加も減少もありえますが、『収益』 『費用』といった損益計算書向けの科目は、基本的には『増加』する一方です。
ですので、『増加』と『減少』を分ける必要がなく、『取引』の発生に伴うものだから、そのまま『発生』という言葉を使い、『収益の発生』、『費用の発生』と呼ぶ・・・といったところでしょうか。

 

システム的に見ると・・・

資本

<概要>

  • 『資本』とは出資者からの出資金と利益の蓄積分を言う
  • 『資本』は『資産の総額』から『負債の総額』を差し引いた『正味の財産』を指す

 

そもそも『資本』とは?

この『資本』という言葉も、簿記に限った用語ではなく、『体が資本』といった使い方をします。
ただ、簿記においても、『正味の財産』のことを『資本』といいますが、このニュアンスは一般的な『資本』という言葉と近いかもしれません。

『負債』の説明で、事業を起こすときには売上よりも先に経費がかかる。そのための資金調達の手段として、金融機関から借り入れを行う・・・と説明しましたが、何も、資金調達の手段はこれだけではありません。
起業者が自ら現金を用意するケースもあるでしょうし、『出資を募る』という方法もあります。そうして集めた出資金は『借入金』ではないので、返済義務はありません。

ただ、何の見返りもなく、資金提供をしてくれるなんて言う虫の良い話があるはずもなく、利益が出た時には、その一部分を分配する、という約束で出資を募るのが一般的です。

一般的な会社の形態である『株式会社』の場合は、『株券』という形で出資を募り、出資者は『株券』を購入します。
それに対する見返りとして、会社は利益の中から『配当』という形で、出資者に還元するわけです。

利益が出そうな、将来性の有りそうな会社であれば、出資者が現れて、起業や事業の継続に必要な資金が調達できる、ということです。

出資者から集めた『出資金』に加えて、『利益の蓄積分』を加えたものをあわせて『資本』と呼びます。

そして、再度以下のイラストを思い出してみましょう。 『資産』 = 『負債』 + 『資本』 になっていますね。
これを『資本』を主役に置き換えると、 『資本』 = 『資産』 - 『負債』 という式が成り立ちます。
これを指して、『資本』のことを『正味の財産』という風に呼んでいるわけです。
balance-sheet.png

図:貸借対照表のイメージ
なお、『資本』にも分類がありますので、整理しておきましょう。と言っても、『資産』や『負債』に比べれば少ないです。

資本の分類
  代表的な勘定科目
株主の出資
  • 資本金
  • 資本準備金
利益の蓄積
  • 剰余金
  • 任意積立金


負債

<概要>

  • 返済義務のあるものを『負債』という
  • 負債には早く返さなければならない『流動負債』と、返済に時間的余裕のある『固定負債』がある


そもそも『負債』とは?

この『負債』という用語も、一般的な使い方と簿記での扱いは少々異なってきます。一般的なイメージだと、返せないような大きな借金をイメージしがちですが、そうでないものも『負債』には含まれます。
金融機関からの借入金はもちろんイメージ通り『負債』に含まれますが、仕入れた商品の後払い分、といった普通の経済活動でも当たり前にあることも『負債』といいます。
しかしながら、支払の義務があるのは借入金も、仕入れた商品の後払い分も同じですから、『負債』という括りになるわけです。

会社は最初から現金などの資産を持っているわけではありません。売るための商品を製造元から仕入れないと始まりませんし、筆者のようなフリーランスのエンジニアのように、身一つで出来るビジネスであっても、名刺を作ったり、といった経費が売上よりも先にかかります。
規模の大小や、業態の差で額の差こそあれ、何らかの方法を使って、売上以外の方法で、手元に現金を確保しないといけないのは確かです。

そのための手段として、金融機関からの借り入れを行ったりするわけですが、そういった『借入金』を受け取った瞬間から、金融機関への支払い義務が発生します。
この返済義務のことを『負債』というわけです。

なお、『負債』にも、おおまかな分類があります。『流動負債』と『固定負債』です。

負債の分類
  代表的な勘定科目
流動負債
  • 買掛金
  • 前受金
  • 支払手形
  • 短期借入金(支払期限が決算日より1年以内)
固定負債
  • 長期借入金(支払期限が決算日より1年以上)
  • 社債
  • 引当金(退職金や修繕費など)

『流動資産』と『固定資産』この違いは、『返済までの猶予』があります。

同じ『借入金』でも、支払期限によって『流動負債』か『固定負債』かが分かれるくらいなので、この返済の猶予が大きな目安となります。

ちなみに、この代表的な勘定科目の中に、『負債』と言われるとイメージしにくいものがあります。
『引当金』がそれで、一般的なイメージだと『積立金』のようなイメージのものに近いです。
将来費用が発生したり、損失が見込まれるもののことを『引当金』という扱いにして、『負債』の中に入れています。
実態としても『積立金』に近いのでしょうが、『将来的に、いつかは支払わないといけないもの=支払い義務があるもの』ということで、負債の仲間に入っています。

この辺りの数字も、『貸借対照表』に表れてきますし、会社の財政状態が分かる指標になりますので、投資家や取引先は、資産の状況とあわせて負債の状況も見て、投資や貸付、取引に際して、リスクが大きいか少ないかを見ていくわけです。

<概要>

  • 資産には『流動資産』と『固定資産』がある
  • 『流動資産』はすぐに現金化出来るが、『固定資産』は現金化に時間が掛かる
  • 資産を見れば会社の安全性が判断できる

 

そもそも『資産』とは?

普段ニュースなどに接していると、不動産やお金をたくさん持っている人のことを『資産家』と呼んだりしますね。
また、企業のスローガンやキャッチコピーで『人材こそ資産』という表現も使われます。

しかしながら、会計における『資産』とは少し意味が異なります。

『資産』=会社が持っている財産を指します。
それならば、人材だって財産じゃないか、と思いますが、あくまでも『会計』上の話では『人材=財産』ということにはなりません。

この『資産』にも分類があります。『流動資産』と『固定資産』です。

資産の分類
  代表的な勘定科目
流動資産
  • 現金
  • 普通預金
  • 当座預金
  • 売掛金
  • 貸付金
固定資産
  • 土地
  • 建物
  • 車両
  • 備品
(有形固定資産)
  • 特許権
  • 著作権
(無形固定資産)

『流動資産』と『固定資産』この違いは、一つの目安として、『現金化』の容易さがあります。
普通預金は銀行・ATMに行けばすぐですし、当座預金・売掛金・貸付金も普通預金ほどではないにせよ、手続きを踏めば現金化出来ますね。
一方の、土地や建物などの『固定資産』は直接、または業者を介して売らない限りは現金にはなりません。
また、売るときに必ずしも帳簿上の価格で売れる保証もなく、『流動資産』に比べるとはるかに現金化に時間がかかります。


以前紹介した『貸借対照表』では会社の財政状態が分かる、と紹介しましたが、特に『流動資産』を見ると、『会社の安全性』が明らかになります。
『流動資産』に余裕がある=現金化出来る資産に余裕がある=商取引に対する支払い能力に余裕がある
ということで、安全性がわかります。

一方で『固定資産』を見ることで『会社の基礎体力』がわかるとされています。
『固定資産』に位置付けられるものには、現金化はすぐには出来ないものの、事業には欠かせないものが含まれていますし、特許権や著作権といったものは、業績アップにつながるポテンシャルを秘めていますね。

投資家や取引先は、これらの資産状況を見て、投資に値するかどうか、安心して取引ができるかどうかを見ていくわけです。
 

システム的に見ると・・・

仕訳と勘定科目

<ある取引が発生した時の仕訳の手順>

  1. その取引が『資産』 『負債』 『資本』 『収益』 『費用』のどれに当たるかを見つける。
  2. 最も適切と思われる具体的な『勘定科目』を見つける。
  3. 見つけた『勘定科目』がその取引によって『増加』『減少』というどの変化があったかを考える。
  4. 変化の内容によって各勘定科目の借方、貸方を決める。
  5. 出来上がった仕分けを帳面などに記入する。

 

仕訳とは

「取引」の記事で説明しましたが、取引には必ず、出るものと入るもののペアが発生します。
簿記では、この取引における増減のペアを間違いのないように『仕訳』という作業を行って記録していきます。

勘定科目とは

仕訳は取引を『資産』 『負債』 『資本』 『収益』 『費用』のいずれかの勘定グループに分類しますが、これだとあまりにも大雑把すぎますね。
そこで勘定グループを細分化します。この細分化したもののことを『勘定科目』と呼びます。例えば、『資産』であれば『現金』 『銀行預金』 『土地』 『備品』といった『勘定科目』に分けられますね。

ここで、『備品』を『現金』で買った、というひとつの取引を例にしましょう。

『備品』という『資産』を、『現金』という『資産』を使って購入したわけですから、『資産の増加』と『資産の減少』が同時に発生します。
もちろん、簿記ではこれをきちんと同時に記録しなければなりません。
そこで、『資産』という勘定グループだけでは、何が減って何が増えたかが曖昧になってしまうので、『現金』 『備品』という2つの勘定科目ごとに仕訳して記録するわけです。
仕訳の際には、必ず2つ以上の勘定科目が関わってくる、というのが大事なポイントです。

先ほどの取引を、もう少し具体的にして、5,000円で書棚を買ったとしましょう。

  1. 「現金を払った」 「書棚を買った」 の2面に分類
  2. 「現金=資産」 「書棚=資産」 とそれぞれ勘定グループに当てはまるので、「書棚という資産の増加」 「現金という資産の減少」となる。
  3. 「現金」はそのまま「現金」という勘定科目を使用。「書棚」は「備品」という勘定科目に当てはまる。
  4. 備品が増えて、現金が減ったので、「借方:備品 5,000円」 「貸方:現金 5,000円」となるので、それを記帳。

仕訳の8つのルール

  1. 資産が増えた時は「借方」
  2. 資産が減った時は「貸方」
  3. 負債が増えた時は「貸方」
  4. 負債が減った時は「借方」
  5. 資本が増えた時は「貸方」
  6. 資本が減った時は「借方」
  7. 費用が生じた時は「借方」
  8. 収益が生じた時は「貸方」
実際の取引の仕訳の際には、上記の8つが組み合わさって記帳されることになります。
また、帳簿に近い形でイメージすると、以下のようになります。
借方(左側) 貸方(右側)
資産の増加
負債の減少
資本の減少
費用の発生
資産の減少
負債の増加
資本の増加
収益の発生


システム的に見ると・・・

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