さて、前回の記事から随分日が開いてしまったが、簿記のイロハのイについて、補足をしておきたいと思う。
 

<簿記の歴史>

現代の経済活動においては欠かすことの出来ない『簿記』であるが、その始まりはいつ頃だったのだろうか?
これは思いのほか古く、1494年のイタリアのヴェネツィアで出版された『算術、幾何、比および比例総覧』(ルカ・パチョーリ著)が起源とされています。
この本の中で、ルネサンス期のヴェネツィア商人たちの間で使われていた『ヴェネツィア式簿記』(=現在の複式簿記)を初めて学術的に紹介され、この『簿記論』の部分が原著のイタリア語からヨーロッパ圏の他言語に翻訳されたたことで、世界的に広まったとされています。
*また、この本は『確率』を初めて学術的に取り上げた文献ともされていて、既知の数学論を幅広くまとめた書籍とされている。

つまり、『複式簿記』というものが、ルネサンス期のヴェネツィア商人たちの間で確立されており、500年以上の歴史があるということになる。

さて、ルネサンス期といえば、日本では室町時代。日本にヴェネツィア式の簿記が伝わったのは江戸時代末期で、1865年に江戸幕府によって設立された『横須賀製鉄所』(現:在日米軍横須賀基地内の横須賀造船所)で初めて採用されたということです。
その後、時代は明治に移り、1873年に『Common School Bookkeeping』(ブライアントおよびトラットン著)が、福沢諭吉の翻訳によって『帳合之法』として出版されています。
この書は、初心者向けの簿記教育用テキストとされています。
ちなみに、同時期に『銀行簿記精法』(アレキサンダー・アラン・シャンド著)の訳書も刊行され、日本においても『簿記』という言葉が初めて使われたのは、こちらの書籍でした。
これらの書籍によって、明治時代に入ってから、日本にも本格的に簿記が普及していったということになります。


<簿記のメリット>

簿記のメリットを伝える言葉として、詩人・劇作家として歴史の教科書に登場する、ゲーテがこんな言葉を残しています。

「簿記が商人にもたらす利益は計り知れない。人間の精神が産んだ最高の発明の一つである。立派な経営者はだれでも経営に簿記を取り入れるべきだ。」

筆者は『ゲーテ=詩人・劇作家』程度の知識しか持っていなかったので、そのような人物が簿記に関する言葉を残していたというのは意外に思いましたが、ゲーテという人物は政治家・法律家という側面もあったので、経営についての言葉が残っていても不思議はないのでしょう。

さて、前回の記事では、以下のような紹介をしています。

簿記の最終目的は決算という手続きをして、決算報告書を作り、必要があればそれを公開することです。「貸借対照表」や「損益計算書」といった報告書を見れば会社にどれくらい財産があるのか、どれだけ儲かっているのかということが明らかになります。

ここで、『貸借対照表』、『損益計算書』という2つの決算書類を紹介していますが、それぞれ役割が分かれています。
  • 貸借対照表:会社の財政状態
  • 損益計算書:その年度の経営成績
と、簡単にいえば、このような役割となっています。これらを読み解くことで、様々なメリットが生まれるわけです。
  • 国/地方自治体:課税額の決定の根拠
  • 営業マン:商材のコスト計算
  • 投資家:株式投資を行う上での判断材料
  • 金融機関:融資を行う上での判断材料
  • 従業員:会社の経営状態を知ることで、不測の事態に備える
  • 経営者:適切な経営判断の材料とする
などなど、経営者や投資家は言わずもがなですが、それ以外の関係者についても、非常に重要な情報源になるわけです。

 

システム的に見ると・・・