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Ruby

Rubyに関しては、まだまだRubyやRails自体の勉強も必要なんだが、言語の細かい仕様はともかく、「PDFで決算書を出力」という要件を満たせそうかどうかは情報を拾っていけば分かる。

Prown

公式サイト:http://prawnpdf.org/api-docs/2.0/

最新バージョンはv2.1.0で2016年2月のリリース。ライセンスはRubyライセンスとGPLv2 or GPLv3のデュアルライセンスのようだ。
公式サイトの説明を見る限り、Rubyのバージョンは気にしなくても大丈夫のようだ。

基本的には、テキストも図形も全てゴリゴリ実装するスタイルのようなので、マス目の多い帳票向きでは無いように思える。

PDFKit

Github:https://github.com/pdfkit/pdfkit

最新バージョンはv0.8.2で2015年8月リリース。ライセンスはMIT。

別途、wkhtmltopdfが必要。PHPでのPDF出力のときにも登場した名前だが、wkhtmltopdf自体は独立したアプリケーションなので、そのRuby用のラッパーとして動くのがPDFKitということになる。

gemを使ってプロジェクト配下にインストールして使うが、使っているのはwkhtmltopdfなので、PHPの記事で紹介したように、デザイン済みのHTMLをPDF化するというもののようで、PDFであらかじめフォーマットを作っておくというものではないようだ。

エディターの出来次第だとは思うが、込み入った帳票で、かつIllustrator等のPDFファイルを作成できるソフトを持っていない場合は面白い選択肢かもしれない。

Wicked PDF

Github:https://github.com/mileszs/wicked_pdf

別途、wkhtmltopdfが必要。最新バージョンはv1.1.0で、2016年8月リリース。

これもPDFKitと同様、Ruby用のwkhtmltopdfラッパーということらしい。

ThinReports

公式サイト:http://www.thinreports.org/
Github:https://github.com/thinreports/thinreports.org

これはちょっと他のライブラリとは毛色が違っていて、Chrome機能拡張の「Thinreports Editor」で帳票のひな型を作り、「Thinreports Generator for Ruby」をgemでインストールしてRubyアプリケーションからPDFを出力を行う。また、作者も日本の方のようで、公式サイトは日・英両対応。

また、PHPライブラリを調べていたときは気付かなかったのだが、PHP版もあるようだ。

ライセンスはMITで、「Thinreports Generator for Ruby」の最新バージョンはv0.10.0で2017年5月のリリース。(PHP版はv0.8.1で2016年12月リリース)

Python

PythonもRubyと同様、詳しくはない言語だが「PDFで決算書を出力」という要件を満たせそうなライブラリがあるかどうか調べてみる。

Python-wkhtml2pdf

Github:https://github.com/qoda/python-wkhtmltopdf

三度登場「wkhtmltopdf」。他の言語でもラッパークラスが提供されているというパターンだったが、Python用のラッパーも存在する。
GithubをみてもChangeLogがないのでバージョンや最終リリース時期は不明。ただ、一番新しそうなソースで3年前と出ている。ライセンスはBSDライセンス。

Sphinx

PythonでPDF出力、といえばこれが出るくらい有名だそうだが、「Pythonで開発したプロジェクトのドキュメントを生成する」ためのツールのようなので、PDF出力用のライブラリというわけではなさそう。
しかも、PDF出力がメインというわけではなく、多数の形式でドキュメントを生成できるうちの一つがPDFということらしい。

reportlab

BSDライセンスで提供されていて、最新バージョンはv3.4.0で2017年3月公開。Pythonのパッケージ管理ツールのpipコマンドを使ってインストールする。
基本的には、テキストも図形も全てゴリゴリ実装するスタイルのようなので、マス目の多い帳票向きでは無いように思える。

まずは帳票出力の設計からということで、「青色申告決算書」の出力方法を検討してみる。

最終的には「青色申告決算書」を印刷するわけだが、ファイル形式を検討する必要がある。
業務系のシステムなんかでは、いったんファイルに落とすのではなく、システムの機能でダイレクトに印刷させるケースもあるが・・・ユーザー環境への依存度を低くするためには、汎用性の高いファイル形式がベターだろう。
となると、PDFか画像に絞られてくる。ま、この2択ならPDFになってくるか。

PDF出力機能をつけるといっても、その部分を自力でゴリゴリ実装するのも余り現実的ではない。(純粋にプログラミング技術のデモということならそれもありだろうが)というわけで、Webシステムで導入できそうな、ライブラリの類を探してみよう。

PHP系

ググって調べてみると、mPDF、FPDF、html2pdf、wkhtmltopdf、TCPDF、と言ったあたりが引っかかる。

mPDF 

公式サイト:http://www.mpdf1.com/mpdf/index.php

ダウンロードも出来るし、マニュアルも用意はされているが、サイト自体は2016年3月以降「This mPDF website is now closed down.」となっている。
最新版はv6.0で2014年12月に更新されたもの。ライセンスはGPLv2。

個人的に使うならともかく、業務として使おうと思うと、ライセンスがGPLってとこが気になる。

以下、mPDFでPDFを出力するための手順。

  1. 公式サイトからmPDFの使いたいバージョンのzipファイルをダウンロード。
  2. 解凍して、Webサーバーにアップ。(例えば、http://hoge.com/test/output.php でPDFを出力したい場合)
    ・output.php からアクセスできるディレクトリ、例えば"test"ディレクトリ配下に解凍して出来た、"mpdf60"フォルダを丸ごとアップ。
  3. 以下のフォルダに実行のパーミッションを与える。
    "ttfontdata","tmp","graph_cache"

最低限の準備としては、これだけでOKのようだ。
手っ取り早く動作確認したければ、同梱されている多数のサンプルのどれかを実行してみれば良いだろう。

実際に使用する場合は、帳票のフォーマットをPDFファイルとして作っておき、PHPのプログラムからは、

  1. mPDFライブラリの読み込み
  2. 帳票の初期設定(フォントの設定や用紙の向き、PDFファイルの読み込みなど)
  3. HTML形式で帳票のデータ部分を出力
  4. PDFの出力処理

と言った流れになる。
注:日本語を出力したい場合、デフォルトのフォントがいわゆるCKJフォントになっているので、一部の漢字が中華フォントになるので注意。

FPDF

公式サイト:http://www.fpdf.org/

こちらは公式サイトも生きているが、更新されているかは別問題のようで...ただ、日本語のマニュアルもある。(サイトは日本語化されてないので、あくまでもマニュアルだけ。また、日本語マニュアルは最新版に追いついていない)
最新版は2015年12月公開のv1.81となっている。

最新版の日付だけを見るとmPDFより新しいのだが、FPDF本体だけでは日本語が扱えない、との情報も多い。いずれも旧バージョンの話ではあるが、FPDFの派生版を使えだの、他のライブラリと組み合わせて使えといった情報がほとんどで、最新のv1.81についての情報はなかなか出てこない。

また、PDFで予めフォーマットを作っておいて・・・という使い方はできない模様なので、決算書の出力のように、非常にマス目の多い帳票だと苦労しそう。
苦労しそうというか、枠線もPHP側で全部描画してあげないといけないようなので、ちと厳しいか。

html2pdf

公式サイト:http://html2pdf.fr/en/default

公式サイトもあって、最新版の公開は2017年4月とかなり新しいのだが…FPDFと同様、PDFであらかじめフォーマットを作っておいて、ということでは無いようなので、決算書向きではなさそう。また、同名のWebサービスがあるので注意されたい。
*前の2つと比べても、ドキュメントが圧倒的に少ないので、ソースを読まざるをえないというのもキツい。

あと、コイツはライセンス的に大丈夫なのか?という懸念があるので、オープンソース関係のライセンスに相当詳しい人でないとちょっとお薦めできないかも。
本筋からそれるので、別記事で紹介するが、この辺のライセンスの解釈は非常に難しい。ライセンス違反なのかどうなのか、断言はできないのだが、グレーじゃないの?と言うものをお薦めはできないですね。

wkhtmltopdf

公式サイト:https://wkhtmltopdf.org/

最新バージョンは0.12.4。他のライブラリと違って、wkhtmltopdf はバイナリ形式(というか、単体で動作するアプリケーション)なので、PCやWebサーバーにインストールして使うもの。ただ、これだけだとPHPから呼び出して使うことが出来ないので、「mikehaertl/phpwkhtmltopdf」などのラッパークラスを使う。
このラッパークラスもcomposerをつかって導入する必要があるようだ。

また、単体のアプリケーションの機能自体も、デザイン済みのHTMLをPDF化するというもののようで、PDFであらかじめフォーマットを作っておくというものではないようだ。

ライセンスはwkhtmltopdf本体がLGPLv3。ラッパークラスの方はMITとなっている。

TCPDF

公式サイト:https://tcpdf.org/

最新バージョンは6.2.13。このライブラリも単体だと帳票の書式から全部コーディングするタイプなのだが、FPDIというライブラリを組み合わせることで、PDFファイルをテンプレートとして使うことができるようになる。(FPDIの公式サイト:https://www.setasign.com/products/fpdi/about/
ライセンスはTCPDFがLGPLv3、FPDIがMITライセンス。

導入の仕方、使い方はmPDFと似たような手順になるようだが、composerを使って導入する必要があるようだ。

JavaScript

候補として出てくるのは、jsPDF、pdfmake、PDFKit、あたり。
jsPDFとpdfmakeがクライアントサイド、PDFKitがサーバーサイド、ってところか?

jsPDF

公式サイト:https://parallax.typeform.com/to/phzpoR
Github: https://github.com/MrRio/jsPDF

公式サイトの方はダウンロードするのに個人情報の入力が必要だし、情報もあまりないのでGithub推奨。
ライセンスはMIT。

導入は非常にかんたんで、CDNのソースを参照して、実装するだけ。ただ、残念ながら日本語非対応。canvasに日本語描いて画像化してからPDFに取り込む、という手法が必要な模様。
ただ、PDFテンプレートを読む機能はなさそうなので、こみ入った帳票向きではなさそう。

pdfmake

公式サイト:http://pdfmake.org/#/
Github:https://github.com/bpampuch/pdfmake

Githubからソースをダウンロードして、Webサーバーにアップする必要こそあるが、jsPDF同様、アップしたソースを参照して実装するだけ。
日本語非対応との情報あり。ただ、ttfファイルを変換してjsファイルにすれば日本語を扱えるとの情報も。
これも、PDFテンプレートを読む機能はなさそうなので、こみ入った帳票向きではなさそう。

ライセンスはMIT。

PDFKit

公式サイト:https://pdfkit.org/

ライセンスはMIT。Node.js必須。ドキュメントを眺めてみた限りだと、PDFテンプレートを読む機能はなさそうなので、こみ入った帳票向きではなさそう。
日本語はフォントさえちゃんと指定すれば出力できるようだ。

 

Perl

PDF::API2

公式サイト:http://search.cpan.org/dist/PDF-API2/

最新バージョンは2.031で、2017年1月に更新されているので、かなり長い間メンテナンスが継続されている。
ライセンスはLGPLv2.1。このライブラリは既存のPDFを開いてテキストを流し込む、といった用途でも使えそう。

PDFJ

公式サイト:http://hp1.jonex.ne.jp/~nakajima.yasushi/

ここで紹介しているライブラリの多くが海外産で1次情報が英語なので内容を理解するのに苦労するのだが、これは国産のライブラリ。
最新版は0.91RC1で2014年9月のリリース。ライセンスは独自のようだが、「本ソフトウェアは誰でも自由に使用、配布、改良およびそれらの組み合わせをおこなうことができます。ただし、改良したものを配布する場合は原著作者の表示を保持してください。」とあるので、MITライセンスに近いようだ。

XMLファイルを元にPDFファイルを生成できる、という点が大きな特徴。ドキュメントや紹介用スライドをみていると、「論文」をPDFで出力するという機能であったり、LaTexを意識して開発されているようだ。

文章メインの論文やレポートの類であれば、かなり威力を発揮しそうなライブラリだが、既存のPDFを読み込む機能はなさそうなので、決算書のような複雑な表組みだとちょっと相性が悪いかもしれない。
 

 

現在、調査中&執筆中の記事で「青色申告決算書をPDFで出力する」というのがあるのだが、それでいろんなライブラリを調査していて気づいた点があるので、別記事にして紹介。

PHPを使ってPDFの帳票を出力するための「pdf2html」というライブラリがあるのだが、ちょっとコイツがライセンス的にややこしい。

というのも、html2pdf自体のライセンスはOSL(Open Software Lisence) となっていて、GPLと同様に、このライブラリを含めて開発したソフトウェアを再配布する場合、ソフトウェア全体にOSLを適用せねばならない。

これだけでもちょっと躊躇しそうなところだが、GPLの場合だと、Webサービスのように、あくまでもシステムの実行結果を提供しているだけ、という場合はソフトウエア自体の「再配布」とは見なさない、ということになっている。(この点は"ASP Loophole"とも言われている)
ところが、OSLは「システムの実行結果を提供しているだけ」でも「再配布」とみなすので、html2pdfを使ったWebサービスはOSLにしなければならない、ということになってしまうので、GPL以上に導入しづらい。

 

さらに厄介なのが、html2pdfそのものが「ライセンス違反」をしているのでは?という懸念が拭えない。

html2pdfのインストール方法をみると、パッケージ管理システムのcomposer必須、とある。別にこれは大した問題じゃないんだが、composer向けの設定ファイル(html2pdfを使う際のパッケージの依存関係が記されている)をみると、「TCPDF」が必要、となっている。
TCPDFはhtml2pdfとは全く別のPHPライブラリなのだが、それを利用しているようだ。

ってか、公式サイトにも堂々と「 (use TCPDF).」と書いてある。ソースを見ると、「extends from TCPDF」だとか、TCPDFという記述も多数。さらにさらに、パッケージ内に「tcpdf.config.php」という、TCPDFからそのままコピーして来たように思われるファイルがそのまま置いてある。
いや、でもTCPDFもOSLで提供されているならそれでも別に問題ないのでは。。。ということで、TCPDFのライセンスを確認すると。。。

// TCPDF is free software: you can redistribute it and/or modify it
// under the terms of the GNU Lesser General Public License as
// published by the Free Software Foundation, either version 3 of the
// License, or (at your option) any later version.

LGPLv3 でした...。

単に、TCPDFのクラスを継承しているだけであれば、LGPLには「継承」に対して特段の条件は無いようなので、別に問題なさそう。
が、TCPDFからコピーしてきたソースを含んだパッケージということなら、TCPDFを「改変」したライブラリと見なされるのでは?
そうなると、LGPLで提供されているライブラリを改変したライブラリはGPLかLGPLでなければいけない、ということになっている。
大丈夫なのか、これ??

 

 

このサイトの目的は「簿記の自習」なわけだが、筆者自身はプロフィールにもあるようにフリーのITエンジニアである。
なので、簿記を自習したいだけの人には不要と分かりつつも、ちょいちょいシステム的な観点の文章を付け加えていた。

が、折角「ITエンジニア」としてこのサイトを作ったわけだから、いっちょオリジナルのWeb会計システムでも作って、その設計過程から記事にしてみようかと。(どれだけ時間がかかるかわからんが…)
まあ、筆者が作らずとも、既にWeb会計システムは出回っているので、作ったところでユーザーが付くかどうかは疑問だが、技術デモと割り切ってしまえばいい。
*筆者が現在使っている会計用のExcel(シェアウェア)が、ちょいちょい落ちやがるから。。。というのはココだけの話。

 

てなわけで、まずはやることの洗い出しから始めよう。

  1. 概要の設計
    • サーバー等のプラットフォーム
    • 言語やフレームワーク
  2. データベースの設計
    • DBMSの選定
    • 各表の設計
    • コード類の設計
  3. ユーザーインターフェースの設計
    • 画面デザイン
    • 画面フロー
  4. 内部設計
    • プログラム設計
    • 実装
    • テスト
  5. 帳票など出力設計
    • 帳票デザイン
    • 出力方式の検討


ひとまず、パッと思いつくタスクでこんな感じ。
抜けてる所があれば、随時補充。

で、どこから手を付けるかだが、ターゲットは「個人事業主の青色申告」とするので、最終的には青色申告のための書類を作成することにある。
もちろん、「e-Tax」などを駆使すれば、紙の帳票を出力する必要もないのだが、果たして「e-Tax」を利用している個人事業主がどれだけいるか。

筆者の地元では確定申告の時期になると、税務署はものすごい混雑で、近隣の工場跡地を臨時駐車場にするくらい。
それをみると、まだまだ紙の帳票は必要だろうし、「e-Tax」を使うにしても、転記する元ネタは必要。
さらに、「青色申告決算書」は国税庁のサイトで公開されているように書式も決まっている。
となると、「青色申告決算書」に則った帳票を出力できる、ってのが最優先事項になる。

ということで、まずは帳票出力から進めていこうと思う。

財務諸表の作成

各種の帳簿を締切ったら、最後に財務諸表を作成して、決算報告を行います。作成する財務諸表の数は個人事業か法人化によって違いはありますが、少なくとも「貸借対照表」と「損益計算書」は作成する必要があります。
*個人事業向けの「青色決算申告決算書」にも、貸借対照表の欄と、損益計算書の欄があります。

貸借対照表の作成

  1. 表題欄を貸借対照表とする。
  2. 商号欄には、会社名や屋号を記入。
  3. 日付欄には決算日を記入。
  4. 現金と当座預金などの預金は「現金預金」として一括で表示する。
  5. 貸倒引当金は売掛金など資産から控除する形で表示する。
  6. 繰越商品勘定は「商品」と表示する。
  7. 未収家賃などは「未収収益」として一括で表示する。
  8. 前払利息などは「前払費用」として一括で表示する。
  9. 減価償却累計額は貸倒引当金と同様、資産から控除する形で表示。
  10. 合計額の記入行を揃えるため、摘要欄に赤で斜線を引く。
  11. 資産の部、負債及び資本の部、両方に合計額を記入し、締切り線を引いて締め切る。
以下は、貸借対照表の記入例です。
bs-sample.png

損益計算書

  1. 表題欄を損益計算書とする。
  2. 商号欄には、会社名や屋号を記入。
  3. 損益計算書は、1会計期間の経営成績を表すものなので、会計期間を記載する。
  4. 費用の部の仕入勘定は「売上原価」と表示する。
  5. 収益の部の売上勘定は「売上高」と表示する。
  6. 損益勘定で資本金としている当期純利益を、赤字で「当期純利益」として表示する。
  7. 合計額の記入行を揃えるため、摘要欄に赤で斜線を引く。
  8. 費用の部、収益の部、両方に合計額を記入し、締切り線を引いて締め切る。
以下は、損益計算書の記入例です。
pl-sample.png

資産・負債・資本を締め切る

決算整理仕訳が終わったら、総勘定元帳にすべて転記して『総勘定元帳の締め切り』という作業を行います。
資産・負債・資本については、手元に残った債権や債務、財産を次期に繰り越すために締切りを行います。

総勘定元帳の締め切り方

  1. 各勘定の借方と貸方の合計額の差額を、金額の少ない方に記入して貸借を一致させる。
  2. 摘要欄に「次期繰越」として赤字で記入して合計線を引く。これを繰越記入という。
  3. 借方・貸方の合計額の記入行を揃えるため、摘要欄に赤で斜線を引く。(標準式の場合。残高式の場合は不要)
  4. 借方・貸方に合計額を記入し、締切り線を引いて勘定を締め切る。
  5. 次期の最初の日付を記入する。
  6. 繰越記入の反対側に「前期繰越」と記入し、残高を元の側に戻す。これを開始記入という。
以下は、現金勘定を締め切る場合の記入例です。
genkin-shimekiri.png

繰越資産表

資産・負債・資本は決算振替仕訳をせずに、直接総勘定元帳に繰越記入と開始記入をします。
勘定科目ごとはともかく、全体の合計金額のチェックが行いにくいので、次期繰越の金額を「繰越資産表」に集約してチェックすることが一般的です。
 

決算で帳簿を締め切る

決算整理仕訳が終わったら、総勘定元帳にすべて転記して『総勘定元帳の締め切り』という作業を行います。
この作業を行って、費用や収益を一通り転記すれば、その会計年度の損益がわかるので、当期の損益も総勘定元帳に記載します。

英米式決算法と大陸式決算法

総勘定元帳の締め切り方も一つではなく、『英米式決算法』『大陸式決算法』があります。

英米式決算法

  • 元帳の貸借差額をそのまま元帳に朱記する。
  • 摘要欄には、『次期繰越』と記入。
  • よく期首の日付で同額を『前期繰越』と記入して繰り越す。
  • 次期繰越高の貸借合計が検証できないので、繰越試算表の作成が必要。

大陸式決算法

  • 決算時に別途『残高』勘定を設け、資産・負債・資本を『残高』勘定に振り替える。
  • 翌期首には『残高』勘定から各勘定科目に振り戻す。
  • 『残高』勘定にて、次期繰越高の貸借合計が検証できる。

この記事では、一般的に広く採用されている『英米式決算法』で帳簿の締切り方を見ていきます。
 

決算振替仕訳と締め切り方

総勘定元帳の各ページを単に転記して締切っただけでは、その期の損益は分かりませんので、費用や収益の勘定を『損益』という勘定に振り替えていきます。
この作業のことを『決算振替仕訳』と呼んでいます。決算振替仕訳の手順は以下の通りです。

  1. 当期の純利益、または純損失を計算するために、総勘定元帳に『損益』勘定を設ける。
  2. 収益の各勘定の残高を、損益勘定の貸方に移す。
  3. 費用の各勘定の残高を、損益勘定の借方に移す。
  4. ここで、損益勘定の借方と貸方の差額として、当期の損益額が出てくる。
  5. 借方が多ければ、『当期純利益』となるので、その分の額は『資本金』勘定の貸方に振り替える。(資本金の増加)
  6. 貸方が多ければ、『当期純損失』となるので、その分の額は『資本金』勘定の借方に振り替える。(資本金の減少)
  7. ここまで行うと、収益と費用の各勘定の貸し借りが一致するので、これを締め切る。


個人事業での資本の出し入れ

個人事業の場合、資本の勘定は『資本金』のみです。ここに事業用の資金として個人のお金を組み入れたり、逆に生活費として引出したりします。
この際、資本金からの引出を頻繁に行う場合、その都度『資本金』勘定を増減させること無く、『引出金』という特殊な勘定科目を使います。(資本のマイナスとなる科目)

ただ、この『引出金』勘定は、簿記3級の試験などでは出てくるのですが、個人事業向けの会計ソフトの場合、見当たらないことがよくあります。
『引出金』を使う代わりに、個人のお金を組み入れたり、個人のお金で立替えた場合に使う『事業主借』(負債グループ)と、個人のお金として引出した場合に使う『事業主貸』(資産グループ)を使います。

一般的に、『引出金』勘定は日商簿記試験向けの勘定科目、個人事業の実務では『事業主貸』&『事業主借』という認識がされているようです。

個人のお金を元入れしたり、立替えた場合

資本金に個人のお金から10万円を組み入れ、そのまま事業用の現金とした(「資本金」勘定を使う場合)

借方 貸方
現金 : 100,000 資本金 : 10,000

資本金に個人のお金から10万円を組み入れ、そのまま事業用の現金とした(『事業主借』勘定を使う場合)

借方 貸方
現金 : 100,000 事業主借 : 10,000

事業で使う備品5000円を、個人のお金で立替えて購入した(「資本金」勘定を使う場合)

借方 貸方
現金 : 5,000 資本金 : 5,000
備品 : 5,000 現金 : 5,000

事業で使う備品5000円を、個人のお金で立替えて購入した(『事業主借』勘定を使う場合)

借方 貸方
備品 : 5,000 事業主借 : 5,000

個人のお金として引き出す場合

事業用の銀行預金から、事業主の生活費として10万円を引出した(「引出金」勘定を使う場合)

借方 貸方
引出金 : 100,000 普通預金 : 100,000

資本金に個人のお金から10万円を組み入れ、そのまま事業用の現金とした(『事業主借』勘定を使う場合)

借方 貸方
事業主借 : 100,000 普通預金 : 100,000

引出金の決算整理

引出金勘定を使う場合、決算時に貸方の合計額を資本金勘定に振り替え、引出した分の金額を資本金から減額する必要があります。

当期首の資本金残高は100万円あったが、当期の引出金の合計が20万円あった。

借方 貸方
資本金 : 200,000 引出金 : 200,000
この決算整理仕訳を精算表に反映すると下図のようになる。
(図は「精算表」から関連箇所だけを抜粋したもの)

hikidasikin.png

 

繰延べとは?

基本的に、費用や収益は支払いや受取が発生した時点で記帳しますが、決算期末の時点で、来期の費用や収益であるはずのものを、前もって支払いや受取が行われている場合があります。
決算は『会計年度』毎に行うものなので、たとえ当期に支払いや受取を行なっていたとしても、来期の費用や収益は、当期の費用や収益から差し引く、『繰延べ』という処理を行う必要があるとされています。

費用の繰延べ

本来、来期に必要となる費用の内、代金を前もって支払っているもの(=前払費用)を当期の費用から差し引きます。
前払費用を計上するための勘定科目には、『前払家賃』『前払地代』『前払利息』『前払保険料』などがあります。いずれも資産グループです。
なお、これらの前払費用は次期のはじめに、元々の費用グループの勘定に振り替えます。

例えば、事業用のテナントを家賃10万円で借りており、その月の家賃の支払いは前月末までに行う契約を結んでいた場合です。
この場合、次期の1月の家賃は、当期の12月末までに支払う必要があります。支払いが発生しているため、当期に記帳しない訳にはいきませんが、あくまでも次期の1月分の費用なので、当期の費用として計上するのはふさわしくありません。
その為、次期の1月分として支払った家賃を、『前払家賃』として、決算時に繰り延べます。

借方 貸方
前払家賃 : 100,000 支払家賃 : 100,000

この決算整理仕訳を精算表に反映すると下図のようになる。
(図は「精算表」から関連箇所だけを抜粋したもの)
kurinobe1.png

収益の繰延べ

本来、来期に発生する収益の内、代金を前もって受け取っているもの(=前払収益)を当期の収益から差し引きます。
前払収益を計上するための勘定科目には、『前受家賃』『前受地代』『前受利息』などがあります。いずれも負債グループです。
なお、これらの前払収益は次期のはじめに、元々の収益グループの勘定に振り替えます。

例えば、所有しているマンションの部屋を家賃10万円で貸しており、その月の家賃の支払いは前月末までに行う契約を結んでいた場合です。
この場合、次期の1月の家賃は、当期の12月末までに受け取っており、当期に記帳しない訳にはいきませんが、あくまでも次期の1月分の収益なので、当期の収益として計上するのはふさわしくありません。
その為、次期の1月分として受け取った家賃を、『前受家賃』として、決算時に繰り延べます。

借方 貸方
受取家賃 : 100,000 前受家賃 : 100,000

この決算整理仕訳を精算表に反映すると下図のようになる。
(図は「精算表」から関連箇所だけを抜粋したもの)
kurinobe2.png

 

 

見越しとは?

基本的に、費用や収益は支払いや受取が発生した時点で記帳しますが、決算期末の時点で、本来当期の費用や収益であるはずが、まだ支払いや受取が行われていない場合があります。
それでも支払いや受取が発生した時点で記帳すれば、結果的に帳尻は合うのでしょうが、決算は『会計年度』毎に行うもので、当期に発生した費用や収益は、手続きの都合で次期に持ち越しとなったとしても、当期の費用や収益として記帳する、『見越し』という処理を行う必要があるとされています。

費用の見越し

当期に発生した費用の内、代金をまだ支払っていないもの(=未払費用)を当期の費用に計上します。
未払費用を計上するための勘定科目には、『未払家賃』『未払地代』『未払利息』などがあります。いずれも負債グループです。
なお、これらの未払費用は次期のはじめに、元々の費用グループの勘定に振り替えます。

例えば、当期の4月1日に年利2.4%、期間1年で100万円を借り入れ、返済は来期の3月末に利息も合わせて一括返済することにした場合の記帳を考えます。
この場合、実際の返済は来期だが、当期の4~12月に発生している利息は当期の費用として計上する必要があるので、決算整理時に当期に発生している利息を算出し、見越し計上します。
期間が1年で、年利2.4%なので、1年分トータルの利息は、以下の額になります。
1,000,000 × 0.24 = 24,000
この内、今期の費用として計上するのは、4月~12月の9ヶ月分なので、年間の利息を12ヶ月均等に割って求めます。
(24,000 ÷ 12) × 9 = 18,000 → この18,000円を『未払利息』として、見越し計上します。

借方 貸方
支払利息 : 18,000 未払利息 : 18,000

この決算整理仕訳を精算表に反映すると下図のようになる。
(図は「精算表」から関連箇所だけを抜粋したもの)
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収益の見越し

費用と同様に、収益に関しても、当期に発生しているが、代金をまだ受け取っていないもの(=未収収益)を当期の費用に計上します。
未収収益を計上するための勘定科目には、『未収家賃』『未収地代』『未収利息』などがあります。いずれも資産グループです。
なお、これらの未収収益は次期のはじめに、元々の収益グループの勘定に振り替えます。

例えば、当期の4月1日に年利2.4%、期間1年で100万円を貸し付け、返済は来期の3月末に利息も合わせて一括返済することにした場合の記帳を考えます。
この場合、実際の返済は来期だが、当期の4~12月に発生している利息は当期の収益として計上する必要があるので、決算整理時に当期に発生している利息を算出し、見越し計上します。
(金額の計算は、費用の見越しの例と同じなので、計算方法は割愛します。)

借方 貸方
未収利息 : 18,000 受取利息 : 18,000

この決算整理仕訳を精算表に反映すると下図のようになる。
(図は「精算表」から関連箇所だけを抜粋したもの)
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